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 第3期生

榑松朝子

(Kurematsu Asako)

 

   第2期生

岩崎彩葉

(Iwasaki Ayaha)

  第1期生

白井愛咲

(Shirai Aisa)

Coffret

Danse

Ensemble

卒業生対談

野村)本日はよろしくお願い致します。

さっそくですが、みなさんはなぜ映身に入ろうと決断したのですか?

 

白井)私は志望していた国立大学に落ちてしまって、それなら受かった中で、変なところの方が

良い体験が出来るだろうと思って、一期生だしなんだかわからなかったけど、半分ヤケクソみたいな

感じで入っちゃえ!と思って入った感じです。

 

岩崎)私は小学生の頃からダンスをやっていたんです。高3の時に映像の中でダンスをやる機会が

あって、それがすごく楽しくて。その時、映像身体学科というのも耳に入ってきていたので、映像と

ダンスで何かやってみたいと思って入りました。

 

榑松)私は高校3年生の11月の末までダンスの大会に出ていて、全く勉強して無かったんですよ。

そんな私をどうにかして大学に入れなければならないと先生も親も躍起になり…でもこの子は

踊らせなきゃいけないと進む方向の結論は出ていました。

映身というよりは、同じ高校だったお二人(白井さん・岩崎さん)が行っているっていう先入観から

知ってる気になって、受けてみて入ったっていう感じですね。

 

 

白井さん・岩崎さん・榑松さんがコフレに在籍していた頃の公演の様子

撮影:Kazumi Fujimura

野村)なるほど。そうやってみなさんそれぞれ想いがあって入学したのですね。

そんな中で入った後とのギャップってありましたか?

 

榑松)それは凄かった(笑)。

白井)うん、凄かった。

 

岩崎)私は特に感じなかったかなぁ。そういうものなんだなと受け入れてやってたよ。

榑松)1期生が1番大変だったんじゃない?

 

白井)当時は将来ダンサーになるつもりは無かったんだけど、大学ではダンスを専門に学ぶつもり だった。

でも1年生の最初の半年はワークショップも受けられず何も出来なかったから、結構ショックだった。それで

焦ってコフレ(コンテンポラリーダンスサークル:コフレダンスアンサンブル)を立ち上げたんだよね。身体を

動かす場がないと思って。

 

榑松)私が入る時には、映身のパンフレットがあって、映身ってこんな事をやります!みたいな例があった

ので、もうちょっとまとまりのあるものだと思ってたんですよ。

ある教授の部屋に行ったら、そこで専門的に学んでいる学生がいて、みたいな。でも入ってみると居場所も

ないし、高校の先輩だった2人(白井さん・岩崎さん)がどこにいて、何を学んでいるかわからなかった。

会えないんですよね。

 

学生そうだし教授もそうだし、常にここにいるって場所もないから、みんなほんとどこで何やってるんだろうって。

 

 

野村)授業も自由に取れますし、ゼミもないですもんね。

会わない人は本当に会わないです....。

 

榑松)私たちが入った時点では、1期生の1年次から受けられるワークショップの授業が無いという反省からか、カリキュラムが変わり始めていて、1年の前期の段階からいくつか実践的な授業はあったので、こういうことをやってくんだっていう漠然としたものが見えてきてはいた。

 

野村)みなさん映身ってどんな学科だと思いますか?

 

白井)実践的なところを教えて育てるつもりが無いっていうのが大事なポイントだなと思っていて、

他のダンス系の大学だったら、どんどん作品をつくって、それを評価されて、その中で照明などの機材

の使い方を覚えていけると思うんだけど、そういう授業も無いし、まぁ専門学校じゃないから、実践的な

部分は自分たちで覚えていくしかないんだなって思いますね。それを存分にやらせてあげるシステム

って難しいよね。

 

榑松)方向性もなく入ってきちゃった子が迷子になっていて、授業の後ろの方でつまらなそうに受けてる

のを見て、同じ仲間としてやるせない気持ちになったこともあったかな。なんとなくで来る人がいるっていうのも映身の特徴だよね。でも1期生の頃ってそういう人少なかったんじゃない?

白井)全然いたよ。やりたいことが違うパターンもあるしね。例えばミュージカルがやりたい!って入ってきたけど、哲学系の授業は全くわからない...ってなってどこか行ってしまうとか、

特定の授業しかとらないとか。

 

榑松)立教だから入ったって人は?

私の時は数人いた記憶があるんだけど。

 

白井)私は出会わなかったなぁ。友だち少なかったからわからないけど(笑)。

 

榑松)2期は?

 

岩崎)私も友だち少ないからわからない(笑)。

 

野村)大学である以上そういう人は出てきてしまうのかもしれませんね。

でも映身の授業から何かを得ることを放棄してしまうと、本当につまらない学科になって

しまう。

 

榑松)料理をする前の食材がたくさん並んでる状態なのが映身なのかなと思うよね。

そこから色んな食材をちょっとずつ、つまんでく感じ。

その選択肢を学生に投げてる学科だよね。どう料理するかは学生次第で、学科としてこう

料理してほしいというようなレシピがない。

もう少しそこが明確にあると生徒もやりやすいんだけど。

 

野村)本当にそうですね。みなさん、それぞれ思うところはあると思うのですが、映身に入って良かったですか?

 

白井)うん。ダンスばっかりやれる専門の学校もある中で、映身だから触れられた考え方もあると思うし、やっぱり授業は面白かった。普通に暮らしていたら学べないようなことに多く触れられたよね。その授業のありがたさを当時はあんまり感じていなかったですけど。笑  映像系の学生と作品作る機会もあったし、編集の何が大変で撮影で何を気をつけなくちゃいけないかとかの映像側の視点を知れたのは良かったなって思う。それはそういう人と一緒に作品を作る機会が無いと知れないことだから。

 

卒業してから思うのは、今、アーティストとして作品を作って、他のアーティストの中に混じって活動していくってなった時に、映身で学んだような哲学とか歴史とか心理学とか、そういうことを知っていることが、すごく大きな財産になっていると思う。それを大学で学ばせてくれたのは良かったと思いますね。

やっぱりそれも、その当時はあんまりわからなかったけど笑。

 

岩崎)私は、ダンスのことばかり考えていたから、ダンス以外のワークショップや講義を受けている時も、全部ダンスのことに関連付けて、ダンスのことして消化していました。4年間でダンスをやる上での視野が広がったと思っています。受けていた勅使川原先生のワークショップも世間一般で言うところ“ダンス”とはまた違うダンスだったから、ダンスそのものの見方も変わって、それがすごく良かったなぁと思います。

だからそのワークショップはすごく楽しくていつも大興奮でした。

 

榑松)やっぱり身体系のワークショップはすごかった。シンプルでストイックなワークショップだからこそ、学んだことを応用して、考え方なり身体の使い方を発展させていく。シンプルだからこそどうにでも幅がある、そういう基礎があるものを学んだなと。

あの、本当に私は授業がおもしろくておもしろくてしょうがなくて!!!

とにかく受けたい授業をいっぱいピックアップして、受けていました。好きな教授だと、飲み会にもついていってしまうくらい笑 本当に楽しくてしょうがなくて。たぶん他の大学だったらダンスを深めていくことは出来たと思うんだけど、やっぱりダンスって社会に向けて発信していくものだし、ダンスがうまくなることだけでは、足りないような知識とか価値観とかが必要で、そのための材料を映身はたくさんくれたなって思います。それが面白くてしょうがなかった。

 

撮影:川面健吾

 

 

野村)では最後に、今映身で勉強している現役生に“こうやって4年間を過ごすといいんじゃないか”というようなアドバイスをお願いできますか。

 

榑松)今すごく平等な世の中だからこそ、周りを全く抜きにして自分の本当に好きなものと自分が本当に良いと思えるもの、自分だけの価値があるものを探す4年間にして欲しいと思います。人と合わせちゃったり、大きな人の単位の中で流されてしまうのではなくて、授業の中で“自分はこう思った”とか、このワークショップを受けて“自分はこう変わった”みたいな、自分の個人のところを強くしていける学科だと思う。他の芸術系の大学だったら、評価されて、戦わせる中で個人を強くしていく、個人の中にあるものを培っていくみたいなところはあるのかもしれないけど、私たちの学科ではそれをしていない。それはしなくていいってことではなく、逆に自分で大事に大事に積み立てていかないと、とりこぼしてしまうことだと思うんだよね。当たり前に受け身になって流してしまうと、その先の人生もっと楽しめるよ、っていう判断の材料がなくなってしまう。面白くても面白くなくても、何でそれが面白くないのかとことん突き詰めて自分の中に蓄えていける4年間にして欲しい。

 

岩崎)現役生へのアドバイスというより、学生だった自分に言いたいことは、もっと映像のこととか色んなことに興味を持って活動している人たちと話せばよかったのに。ということですね。隣にいる人が今何を考えて生きているのか、些細なことでもいいけれど、もっと知りたかったなあと思って。色んな人と話すといいなと思って。もし当時、色んな人と話していたら、自分のやっているダンスも、ダンスを知らない人にも見てもらえたなと思って、それが出来たらお互いにとって良かったと思います。

 

白井)今私は自分で作品をつくったり、人の作品に参加したりしているわけだけれど、自分が宇宙の中で何に興味を持っているのかっていうのがすごく大事で、それがあるからやっているんだっていうことを卒業してから思った。さっき朝子が言ったのと同じようなことにはなるけど、それを学生の内から探すことに力を注げたら良かったなと。1期生だからというのもあるかもしれないけど、実績を残さなきゃと思って、何かを形にすることを焦ってやってしまった。もっと哲学の研究をしている教授とか、心理学の教授とか、映画を撮っている友達とか色んな人が、それぞれ何に興味を持っているかっていう話をもっと聞けたら良かったって思うし、授業を聞くときも教授が何でその学問を選んだのかってところまで思いを馳せられたらもうちょっと面白かったというか、自分の生き方の選択として、映身にいる教授って幅広いというより極端な人が多いから、その人が何故極端な道に進んだのかってところを知って、その中で自分を固めていけたらと思いますね。


野村)本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

撮影:Kazumi Fujimura

岩崎彩葉

 

1988年神奈川県生まれ。9歳よりダンスを始める。神奈川県立神奈川総合高校にて踊ること、作ることにのめり込む。大学卒業後は冴子ダンスカンパニーにて活動する傍ら、À LA CLAIREや演劇ユニットttuに参加。横浜ダンスコレクションEX2014コンペティションⅡファイナリスト。

白井愛咲

 

幼少よりバレエを習い、高校でコンテンポラリーダンスを始める。大学卒業後はソロで活動するほか、神村恵カンパニーなどに出演。

横浜ダンスコレクションEX2013 コンペティションII  奨励賞受賞。

http://aisa.moo.jp

榑松朝子

 

幼少からクラシックバレエを習い、高校で

ダンス創作に出会う。

映像身体学科在学実、マドモアゼルシネマ

「途中下車」に出演、セッションハウス等学外でも積極的に踊る。

 

卒業後À LA CLAIRE(アラクレール)を

立ち上げ、そこでの活動を中心に踊っている。

無類のイチゴ好き。

 

 

 

 

----今後の活動予定----

 

榑松演出・出演、岩崎出演
À LA CLAIRE 第4回ダンス公演「ink」

2015/3/14(sat)15:00~/19:00~

会場:セッションハウス(神楽坂駅より徒歩一分)

alaclaire.com

 

 

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